卵巣がん治療に備えて知っておきたい制度など
~自分らしく毎日を過ごすために~

卵巣がんと診断を受けてからすぐに入院や手術が必要になることもあります。
また、そうでなくても、日常生活や仕事をどうすればよいのか、不安に思うことも多いでしょう。利用できる制度やサービスについてあらかじめ知っていれば、急な状況の変化にも対応できます。
ここでは、治療を始める前に知っておきたいことをまとめました。

卵巣がん患者の暮らしのヒント、治療に備えて知っておきたい制度など

日常生活でおさえておきたいこと

子どもの預け先を確保する

親の病気や出産、家族の看護などで一時的に子どもの世話ができないときに公立の保育園で子どもを預かる「緊急一時保育」という制度があります。
これは児童福祉法によって定められた国の事業の一環で、自治体が主体となって運営しています。

また、「ファミリー・サポート・センター」という地域の会員同士で支え合う有償のボランティア組織が活動している自治体もあります。ここでは、一時預かりのほか、保育施設や学童クラブ、習い事などの送迎もお願いできます。

ポイント:ベビーシッターの助成制度

最近では、ベビーシッターを利用した際に、国や自治体の助成や補助を受けられる制度も増えてきていますし、企業の福利厚生制度でサポートしていることもあります。
ベビーシッターの検索や依頼を専用のWebサイトやアプリなどで行うことができます。これらのwebサイトやアプリなどでは、利用可能な助成制度が紹介されているものもありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。

行政サービスの名称や内容、補助が受けられる条件は各自治体によって異なります。
詳しくは、お住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。

療養生活をサポートする福祉サービス

治療中は、外出や家事が思うようにできないときや、着替えや排泄に介助が必要になるときがあります。こんなとき、日常生活の負担を軽くするために、福祉サービスがあります。

例えば、看護師が自宅を訪問して、健康管理や医療的なケア、入浴や食事の介助などさまざまなサポートをする「訪問看護」は、通院治療を受けながらでも利用することができます。介護保険の対象とならない40歳未満でも、医師が必要だと判断した方は医療保険で受けることができます。

ポイント:上手に活用したい、民間のサービス

そのほかにも、さまざまな民間のサービスがあります。必要なときに上手に活用するとよいでしょう。

配食サービス
栄養バランスの取れた食事を届けてもらえるサービス。
卵巣がん患者の暮らしのヒント、配食サービスのイメージ

「がんになっても:さっとできる、家族が笑顔になる料理」では、療養中でも栄養バランスを考えた簡単に作れるレシピを紹介しています。自宅で料理ができる方はこちらも参考にしてみてください。

送迎サービス
介護タクシーや福祉タクシー、民間救急車など、移動に伴うサービス。

就労についておさえておきたいこと

まずは就業規則の確認を

卵巣がんの治療で会社をしばらく休まなければならなくなったときには、まず、勤めている会社の就業規則にある休職制度について確認しましょう。

休職制度は法律で義務づけられているものではなく、それぞれの会社の判断にゆだねられています。この会社の判断基準を規定するのが「就業規則」です。まずは、この規則の内容を理解しておくことが大切です。

主治医に今後の治療計画や復職の見通しなどを確認し、事前にまとめておくと、医師から得た情報をもとに、仕事と治療を両立するための話し合いを行うことができます。

ポイント:会社との話し合いまでにまとめておくとよいこと

今後の治療計画
必要な入院期間、通院サイクル など
復職まで、復職後の見通し
必要な休職期間、可能な業務の範囲(例:腹筋に力が入る動作(書類や書籍の上げ下ろし、中腰の作業など)はないか、長時間にわたるデスクワークはできるか、残業はできるか など)

詳しくは「がんになっても:がん治療と就労」をご参照ください。仕事と治療の両立について、会社へ相談する際の注意点やサポート制度などを紹介しています。

他にも知っておきたい、こんなこと

福祉や支援サービス以外にも、セカンドオピニオンのように治療が始まる前に検討が必要なこともあります。
卵巣がんの治療は患者さん自身が積極的に治療に参加し、前向きに取り組んでいくことが大切です。ご自身でも積極的に情報を集めていくとよいでしょう。

セカンドオピニオンの活用

患者さんご自身が納得して治療法を選択するために、主治医以外の医師に「第2の見解」を求めることをセカンドオピニオンといいます。

セカンドオピニオンを受けるには、まず、主治医の説明や提案をしっかりと理解することが大切です。それでもさらに主治医以外の意見を聞きたいときには、セカンドオピニオンの希望を伝えましょう。

セカンドオピニオンを申し込んでから受けられるまでに時間がかかる場合もあります。治療開始の遅れが患者さんの不利益となることもあるので、セカンドオピニオンを受けるタイミングについては主治医とよく相談して決めましょう。

セカンドオピニオンを活用するポイントについては、「がんになっても:セカンドオピニオン活用術」をご参照ください。

患者会

「患者会」は、がん患者としての体験を持つ方々が交流や情報交換などをすることを目的に集まる、患者さんやご家族が自主的に運営する会のことです。

同じ病気に直面してさまざまな経験をした方々と集い、語り合ったり、悩みを相談したり、療養生活を快適に送るヒントや解決策を得たりすることにもつながります。
同じような悩みを抱えている人と語り合うだけでも、気持ちが楽になったという方の声も聞かれます。

患者会の種類や入会方法などの情報は、病院の相談窓口や、がん診療拠点病院などにあるがん相談支援センター、雑誌やインターネットなどから収集することができます。

LINEアカウント「わかる卵巣がん」では患者さんの体験談を紹介しています。まずは、他の方の体験談を読んでみるところから始めるのもよいかもしれません。

  • 参考文献
  • 1) 国立がん研究センターホームページ:制度やサービスを知る「がんとお金」
    https://ganjoho.jp/public/institution/backup/index.html(最終閲覧:2022年9月1日)
  • 2)国立がん研究センターホームページ:妊よう性 女性患者とその関係者の方へ
    https://ganjoho.jp/public/support/fertility/fertility_03.html(最終閲覧:2022年9月1日)
  • 3)山﨑知子編「まず知っておきたい! がん治療のお金、医療サービス事典」、全日本病院出版会、2021年